「興奮するので」
「日本のポルノ文化はなかなか独自の発展をしていることは知っていましたが、この寝取られという概念は面白いですね、月くん」
「やる気の無いお前がどんなエロサイトを見たのか知らないけど、少なくともずっと真面目にキラ事件の捜査をしている僕に言うべきことじゃないな」
「月くんは興味ありませんか、寝取られモノ。日本のポルノでは人気上位にくるメジャーな性癖だと書いてあるんですが」
「そうなのか……? だとしたら、みんな病んでるな……じゃなくて、知らないし、僕は興味ないよ」
「そうなんですか? 月くん、寝取りとか好きそうだと思ったんですが」
「どういう意味だよ。というか、誰かの好きな相手が自分に惚れるなんて、実際はまったくいいもんじゃないからな。何度それでトラブルになったことか……」
「あぁ……たしかに月くんはポルノに頼らずとも生きてるだけで寝取り放題でしたね」
「言っておくけど、僕は自分の意識で他人の恋人を奪ったことはないからな」
「では、逆に恋人を寝取られるのはどうですか? そちらの方に興奮することはありますか? ちなみに私は想像してみましたがかなり興奮しましたね」
「……お前の性癖なんて知りたくなかったよ。でも、意外だな。お前って負けず嫌いだから、寝取るならまだしも、寝取られるなんて嫌だと思ったけど」
「いえ、私も月くんがどこの馬の骨とも知れない奴に寝取られるのは嫌ですし、そもそも月くんを寝取れる人間なんてとても想像できないんですが」
「…………うん?」
「でも、もしも月くんが、キラである部分とキラではない部分で分裂したと考えた時、キラであれば月くんを寝取ることが出来るんじゃないかと考えたところ、非常に興奮しましたね」
「……どこから何を言えばいいのか分からない」
「どちらも月くんというのは見た目からしても実に眼福です。私に向かって『ほら、お前の大切な僕が、これから目の前で僕に犯されるんだ。よく見ておけよ、L』と言うキラの姿……そして辛そうにしながらもキラの与えてくる快楽に身体を震わせる月くん……最高ですね。今すぐ抜けます」
「竜崎、お前の性癖がどんなものか僕はもう諦めたから、せめて抜くのはここじゃなくてトイレにしろ」
「冗談ですよ。真面目さは月くんの美点でもありますが、何でも真正面に返されると困りますね」
「……冗談って、どこまでだ?」
「今すぐ抜きたいは冗談です」
「じゃあそれ以外は冗談じゃないのか! なんの解決にもなってない!」
「はぁ……見てみたいですね。キラが『ふっ、もう三本目が入った。お前、普段どれだけ僕を犯しているんだ? こんなに調教され尽くして、僕も可愛そうに。ここまでされたら、もうセックスなしじゃ生きていけなさそうだな』と月くんの痴態を嘲笑う姿」
「思ったんだけど、それ自分で自分を貶めてることにならないか?」
「まぁ、最終的にはキラが月くんに挿入する前に形成逆転して、月くんとは慰めセックスをして、キラには『お前は犯す側じゃなくて犯される側だ』と教え込む理解させセックス展開になるので、全て私の勝利なんですが」
「分かった竜崎、疲れてるんだな。とりあえず鳩尾を狙うから、ちゃんと意識飛ばすんだぞ」